第56回食べ合わせって本当にあるの?
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私は両親が共働きであったために、子どもの頃は祖母に面倒を見てもらっていました。祖母は明治生まれで、家では着物を着るなど昔ながらの生活を送っていました。この祖母がよく言っていたのが食べ合わせについてです。「ウナギと梅干し」、「天ぷらとアイスクリーム」、「たことアワビ」など今でも多くのことが記憶に残っています。ここで挙げた食べ合わせは“身体に悪い”食べ物の組み合わせです。
一方で、現在、世界中で研究が進んでいるのが、“身体に良い”食べ合わせです。食べ合わせと言っても、その組み合わせは無限です。例えば、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に収載されている食品素材だけでも2191種類あります。この中から5種類の食品食材を選ぶだけでも420兆通りの組み合わせがありますので、その研究は容易ではありません。
そのような中で、くるみと各種の食品を組み合わせた場合の効果についてマウスを用いた研究が行われました(J Nutr doi: 10.3945/jn.116.234419)。この研究ではマウスに、くるみ+ラズベリー、りんご、クランベリー、チェリー、ブロッコリー、オリーブオイル、大豆タンパク質、あるいは緑茶の組み合わせの食餌を9週間与えて、様々なマーカーを摂餌前後で測定しました。
その結果、図に示すように、くるみ単独、またはくるみとラズベリー、チェリー、あるいは緑茶を組み合わせた時に、血液中の良い油(脂肪)であるα–リノレン酸、EPA、DPA、DHA、および不飽和脂肪酸が増えました(図で1を超えている)。この他にも、同様の組み合わせで身体の中の炎症まで抑えてしまうことも示唆されました。
今後は、「これを食べたら良い」ではなく、「これとこれの組み合わせが良い」とより詳しい食事情報が得られるようになるかもしれません。