コラム

第57回 耳掃除のやりすぎには注意

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    米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会から、耳のケアに対する新しいガイドラインが発表されました。そこに記されているのは「耳掃除のやりすぎには注意」「綿棒のような細いものを耳に入れない」といったこと。医師の間では、耳掃除は必要ないと知られていましたが、さらに踏み込み、耳掃除の危険性について警告を発しているのです。

    耳垢(あか)は、外耳道にある耳垢(じこう)腺と皮脂腺からの分泌物や、剥離した皮膚の角化表皮細胞(垢)などからなり、カサカサと乾いたタイプと粘り気のある湿ったタイプの人がいます。耳垢腺の数が多いと湿った耳垢になることがわかっていて、日本人のおよそ8割は乾いたタイプですが、ネグロイド(黒人)やコーカソイド(白人)のほとんどは湿っているそうです。

    耳垢には、耳を保護する役割があり、ほこりや塵(ちり)など外部からの異物の侵入を防いでいます。また、外耳道の自浄作用やあごの動きなどにより古い耳垢は剥がれ、その後、新しい耳垢によって入口のほうに押し出され自然に落ちる仕組みになっています。

    ガイドラインでは、耳掃除のために耳かきや綿棒を入れるとかえって耳垢を奥に押し込んでしまい、外耳道を塞いでしまうことがあるとしています。たまった耳垢が穴をふさぐと、難聴や耳鳴りなどの症状がでる耳垢栓塞(じこうせんそく)になってしまうことも。

    また、耳かきや綿棒で過剰にこすることで、外耳道が傷つき外耳道炎などの感染症を起こす可能性もあり、鼓膜や外耳道にとってよいことはなさそうです。

    もし、耳の痛みや、閉塞感、聞こえにくさなどがあって耳の中が気になる場合も、耳垢が原因とは限らないので、必ず耳鼻科を受診するようにとガイドラインでは促しています。

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