コラム

第62回 ゲームと脳

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  • sn

    電車に乗ると昔は文庫本か新聞を読む。また、運よく座れたら居眠りをするというのが、電車内での過ごし方でしたが、近頃では大半の方がスマホをいじっておられます。特に、ゲーム機やスマホでゲームをやっておられる方の集中には驚かされるものがあります。この隆盛を極めるゲームですが、日本だけでもその市場は約4000億円(ゲーム機2000億円;ゲームソフト2000億円)と拡大しています。本当に私たちの生活に馴染んで来たのですね。

    過去にはこれらゲームをすることにより、例えば高齢者では生活全体が活動的になり、身体機能や認知機能が向上するといわれて来ましたが、現在ではそれを否定する論文も少なくありません(Phys Ther. 2017; 97(12):1122-1137)。
    それどころか、現在では、他のキャラクター(プレーヤー)を暴力で制圧するようなゲームでは短期的にも長期的にも日常的な攻撃感情や行動、あるいは不眠や脱力感をもたらすことが報告されています(Pediatrics. 2017;140(Suppl 2):S142-S147)。

     特に、長時間座ってゲームをすると運動不足から肥満傾向に陥り、血圧が高めになることが報告されています(Eur J Clin Nutr. 2013; 67(12):1322-4)。この研究では、48名の男性を3つのグループに分けて、1時間だけ①暴力的なゲーム、②非暴力的なゲーム、③テレビ鑑賞をしてもらいました。その結果、①の暴力的なゲームは他に比べて血圧が上昇しました。加えて、満腹感が少なく、甘いものをたくさん食べる傾向があることが分かりました。暴力的なゲームが悪いと言っているのでは決してありません。暴力的なゲームをする場合には途中で休憩を取り、意識してお菓子などは摂らないようにしたいものです。

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