コラム

第63回 ゲームと脳運動と音楽

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  • sn

    2018サッカーワールドカップが始まります。
    2020年には東京オリンピックも控えており、ここ数年スポーツの話題には事欠かない気がします。試合の前に、談笑する選手、黙して瞑想する選手などいろいろいらっしゃいますが、近頃では、自分の好きな曲を聴きながら過ごす選手も増えています。この音楽と運動の関係を調べた研究が発表されています(Med Sci Sports Exerc. 2015; 47(5):1052-60)。

    この研究では、20人の運動選手(22±4歳)が、「音楽あり」と「音楽なし」の2つの条件下で自転車こぎを行いました。この運動は4分間の休憩を挟んで4回行ないました。この結果、図のように、音楽を聴いた場合の方が聴かなかった場合よりも最高筋力と平均筋力で高い値が示されました。ただし、この音楽の効果は初回が最も大きく、運動回数が上がって疲れてくると音楽の効果はなくなることも分かりました。私個人としては、運動前の音楽は、感情を高ぶらせたり、運動への喜びを大きくする、あるいはリラックスさせるような効果があると考えていましたが、この研究ではこれらの効果はありませんでした。同じような研究は水泳でも行なわれており(J Sports Med Phys Fitness. 2015; 55(12):1445-51)、水泳の前に5分間音楽を聴き、その1分後に200m自由形で泳ぐとタイムが平均で2秒強(1.44%)速くなったと報告されています。

    コンマ数秒を争う選手たちにとってこれは大きな効果ですね。
    近年では、試合前の準備をテレビなどでも放映します。超一流のスポーツを、このように新たな視点から観てみるのも楽しいかもしれません。

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