第66回 秋の室内の明かりと睡眠
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朝晩、すっかり秋の気配が濃厚になってきました。これまで寝苦しい日々が続きましたが、これからはより深い眠りが期待できます。
睡眠と関係する環境として、温度や湿度と共に、明かり(光)がしばしば挙げられます。デンマークで65歳以上の方を対象とした明かりと睡眠の質の関係が研究されました(Chronobiol Int. 2015; 32(8):1049-60)。研究では青色光を含んだ室内灯(波長450nmの光が中心です)と青色光を含まない室内灯(波長625nmの光が中心です)でそれぞれ3週間過ごしてもらって、睡眠との関係が調べられました。これらの結果、睡眠時間、色彩瞳孔測定、そして唾液中のメラトニン量は青色光の量とは関係ないことが分かりました。
ちなみに、メラトニンというのは1日のリズムを作り出すホルモンです。一方で、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いた調査では、女性に青色光の影響が出てきました。この青色光の影響の前に私が驚いたのは、図のように65歳以上の方々の睡眠の質に大きな男女差があることでした。女性の睡眠スコアは男性の約1.9倍になります。これだけ女性は睡眠に悩んでおられることになります。これが青色光を含む室内灯を用いると女性の睡眠の質は急激に好転したのでした。
なお、スマートフォンなどの光で問題になっているブルーライトはこの青色光よりも強い光で別物です。昔はこの研究で使われている青色光を含む照明器具を探すのは難しかったのですが、現在ではLED電球で簡単に実現できます。秋の夜長、せっかくなら睡眠のために良い光を浴びながら過ごしませんか?