コラム

第67回 宇宙に行くと若返る!?

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  • sn

    今回は滅茶苦茶に難しいお話です。だって、アインシュタイン博士の相対性理論と若さの話ですから・・。さて、この夏、2つの実験が始まりました。
    一つは10月に東京スカイツリーで始まりました。東京大学等のグループは東京スカイツリーの1階と450メートルの両方に、超高精度な時計を取り付けて、時計の進み方の違いを測り始めました。相対性理論では時間の進み方は重力の強さで異なり、高いところでは重力が弱くなるために時間の進み方が速くなります。このグループでは450メートルの時計の方が1ヶ月で1億分の13秒速くなると予想しています。

    もう一つの実験は、双子の宇宙飛行士の一人が宇宙に一年滞在、もう一人が地上に残り、その違いを調べるというNASA(アメリカ航空宇宙局)の実験です。写真のように51歳のケリー兄弟は同じ宇宙飛行士。一人は既に退役しており、もう一人が宇宙に1年間滞在しました。それにより宇宙に滞在した方には遺伝子発現に変化が起きていたことが判明しました。8月号でも少し解説させてもらいましたが、遺伝子末端についており、年を取ると共に短くなる「テロメア」という構造が宇宙にいた一人は著しく伸びていたのです

    。つまり、遺伝子的には若返ったということ になります。しかし残念ながら、この「テロメア」は地球に帰って来たら48時間のうちに短くなり、地球出発前と同じになりました。つまり、もう一人の双子と同じになったのです。この原因はまだ分かっていません。来年あたりには詳細な解析結果がNASAから出されると思います。重力が小さいために、時計がゆっくり進む宇宙では、その時間の遅れを超えて若返る何かがあるのかもしれません。

    仕切り線

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