第70回 味噌汁は血圧を上げるのか?
-
寒い日が続きます。
特に、凍えるような朝には温かい味噌汁が何よりのご馳走です。しかし、味噌は保存食で多くの塩分を含んでいますので(100gあたり4〜5g;7訂日本食品標準成分表)、血圧を気にする人に避けられる傾向があります。
一方で、世界的な日本食ブームのおかげで、味噌は多くの国々で使用され、味噌汁も世界的に普及して来ました。近年の研究では味噌汁の摂取が動物モデルの自律神経失調症を軽減することが証明されました。しかし、この結果がすぐに人間に適用できるのかは未だに不明です。そこで、日本で味噌汁の摂取頻度と被験者の血圧および心拍数との間の横断的関連性が調べられました(Intern Med (2017) 56(1), 23-29)。この研究では、健康診断に参加した50〜81歳の合計527名の被験者を登録し、味噌汁摂取の頻度に基づいて4つのグループに分けました。グループ1は1週間に1回未満、グループ2は1週間に1回以上4回未満、グループ3は1週間に4回以上7回未満、グループ4は1週間に7回以上として分類されました。
そして、各グループの血圧と心拍数が比較されました(図参照)。その結果、味噌汁の摂取回数と血圧に関連はありませんでした。つまり、味噌汁を摂ると血圧が上がるということはありませんでした。却って、味噌汁の摂取は心拍数を下げるかもしれないとの結果が出ました。味噌汁はその中に入れる具材が野菜や大豆製品などであるため、総合的に健康的な料理だと言われています。血圧の心配はなくなりました。日本食の代表・味噌汁を積極的に摂っていきたいものです。