コラム

第72回 玄米と白米

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  • sn

    今年に入って、このコラムでは世界的にブームになっている日本食の素材について書かせて頂い
    ております。今月は玄米です。玄米は昔、脚気(かっけ)の原因となるビタミンB1不足が玄米
    に含まれる糠成分によって解消されることで栄養学的に注目されました。現在では、ライ麦を
    使ったドイツパンの流行と同様に、玄米に含まれる食物繊維で注目されています(玄米は白米
    の6倍の食物繊維が含まれます)。この白米と玄米の消化を比べた試験が動物の胃を模した装
    置で実施されました。(Food Chem. 2017; 237:1065-1072)

    この実験では、胃の中で白米と玄米がどのように消化されていくかを観察されました。
    玄米は、直感的に分かるように胃の中でなかなか消化されませんでした。
    食後3時間が経過しても、胃から小腸へ送り出せなかった白米が 32%であったのに対して、玄
    米は 53%と半分以上が胃に残ることが分かりました。ここまで読まれると、玄米は胃に
    もたれて嫌だなと思われるかもしれません。しかし、これは悪いことばかりではありません。
    玄米はゆっくり消化されることから2型糖尿病や動脈硬化などとの関連が指摘されている血糖値
    スパイクを緩やかにします。つまり、玄米はよく言われる値(グリセミック指数)が低い
    のです。図を見てみましょう。白米や玄米が消化されると麦芽糖が出来ますが、この消化の
    程度は時間が経つほどに白米と玄米で差が出ており、玄米はゆっくり消化され、インシュリン
    に優しい食べ物なのです。

    なお、玄米を食べ易くする方法として、ネット上では長時間水に浸けておくことや炊く時に食
    塩を入れることなどが記載されていますが、食塩を入れると却って硬くなりますので注意が必
    要です。

    仕切り線

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