第80回 味噌と塩分
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寒い日も続き、本格的な冬を迎えようとしています。これからの季節、鍋物が恋しくなりますね。この鍋物でも味噌は大活躍します。また、好きなラーメンランキングでも首位は醤油や豚骨に譲っていますが、いつも2位を確保するのが味噌ラーメンです。
さて、この味噌は発酵食品であることやポリフェノール類が豊富であることから近年大きなブームになっていますが、一方で塩分を摂り過ぎるので摂取を避ける方もいらっしゃいます。確かに、7訂食品成分表(文部科学省)によると、100gあたり米味噌で12.4g、麦味噌で10.7g、豆味噌で10.9gの塩分が含まれます。ちなみにご承知かと思いますが、減塩味噌も10.3gが含まれています。一方で、味噌にはカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルやナイアシン、葉酸、ビオチンなどのビタミンも豊富です。上手に利用していきたいものです。
この味噌を使った研究は今年の1月にも紹介させて頂きましたが、今月は別の研究で、成人すると高血圧になり、脳卒中を起こすネズミを使った実験を紹介させて頂きます(Am J Hypertens 2017;31(1):43-47)。このネズミにカロリーは同じで、塩分が異なる食餌を与えました。低塩食グループ(塩含有率0.3%)、味噌食グループ(塩含有率2.8%)、そして高塩食グループ(塩含有率2.5%)を比較すると図のように、脳の血管に起こる詰まり(血栓)が味噌食の方が高塩食よりも塩分が高いにもかかわらず、血栓ができる割合が少ないのが分かりました。これは血栓だけでなく、生存率も全く同じ結果でした。味噌を塩分だけで考えてはいけないのです。