第81回 減塩と高血圧
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2019年は5年ごとに見直しが行われている高血圧の診療目標の改定年でした。結局、今までと目標血圧は変わらず、75歳未満では収縮期血圧が130 mmHg未満、拡張期血圧が80 mmHg未満となりました。この高血圧と食事の関係でよく取りざたされるのが塩分です。塩分の摂取や摂り方については、その人の活動量や季節によって異なります。が、長期的には減塩を続けることには血圧低下だけでなく、心臓や血管の保護にも役立ちます。
今回は、高齢者に多い「孤立性収縮期高血圧」について減塩の効果を調べた研究です(Medicine (Baltimore) 2018; 97(14):e0342)。「孤立性収縮期高血圧」とは上(収縮期)が140 mmHg以上あるにもかかわらず、下(拡張期)が90 mmHgである高血圧です。血管が硬くなるとこの高血圧が出てきます。研究では、「孤立性収縮期高血圧」の患者51名とその他の高血圧患者75名をそれぞれ2つのグループに分け、6ヶ月間、それぞれのグループの半分の人には減塩食を、そして残りの半分の人には通常食を摂って頂きました。その結果、6ヶ月後には「孤立性収縮期高血圧」グループで減塩食の人たちは普通食の人たちに比べると、収縮期血圧が平均で10.18 mmHg(P = .006)減少しました。その他の高血圧の人も全員含めると5.10 mm Hgだけ減少しました(統計的に有意ではありません;P=0.158)。そして、図に示すように、実際に尿中の血圧をあげる役割をするナトリウムは統計的有意に減少し、血圧を下げる役割をするカリウムとカルシウムも統計的有意に増加しました。
減塩は、高血圧のタイプによって効果が異なるようです。しかし、高齢者の場合には減塩は心掛けた方が良いようです。