コラム

第82回 ニンニクと心臓血管疾患

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    ニンニクに注目が集まっています。これまでのチップやすり下ろしだけでなく、ニンニクを丸ごと使った料理が巷に出回っています。昔から、滋養強壮にニンニクは利用されますが、心臓血管疾患やがんの予防に関する研究が進んでいます。今回はその中でニンニクと心臓血管疾患との関係です。心臓血管疾患は、世界的に死亡率の上位を占める病気であり、年間死亡者数は今後10年間で増加すると予想されています。これに対して、ニンニクは、最も売れているハーブ系栄養補助食品であり、治療と予防において、幅広い有益な効果が知られています。例えば、ニンニクが軽度の高血圧を治療し、高コレステロール血症を減少させ、アテローム性動脈硬化を予防する可能性があることが報告されています(Curr Pharma Des. 2017;23(7):1028-1041)。これら効果に関しては、ニンニクとその副産物が病態生理学的に効果を発揮するための作用機序も徐々に分かってきました(Neurol Res 2018 Jun;40(6):421-425)。この中で、ニンニクが高血圧、高コレステロール血症、C反応性タンパク質(CRP)、脈波伝播速度(PWV)、および冠動脈カルシウム(CAC)に及ぼす影響、および副作用に関する報告をまとめた研究が発表されています(J Nutr 2016 Feb;146(2):416S-421S)。ニンニクは、血圧を7〜16 mm Hg(収縮期)および5〜9 mm Hg(拡張期)低下させました。総コレステロールは7.4〜29.8 mg / dL減少しました。その中でも熟成ニンニクはCAC、CRP、およびPWVに良好な効果を示しました。ニンニクの主な成分は「アリイン」と言い、ニンニクだけでなく、ねぎや玉ねぎにも含まれます。この「アリイン」はすり潰すことで図のように有効成分「アリシン」に変わります。ニンニクを丸ごと食べるときはしっかり噛み砕きましょう。

    仕切り線

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