第84回 ウイルスとうがい
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この原稿を書かせて頂いている3月上旬には未だ新型コロナウイルスは世界的に猛威をふるっています。私たちの生活にも大きな影を落としていますが、流行性のものですので冷静に対応したいものです。
さて、今月はよく受ける質問なのですが、どのようにうがいをしたら良いかです。既に消毒剤による手洗いと共に、うがい薬が口腔と中咽頭のウイルス量を大幅に減らすことが報告されています(Infect Dis Ther 2019 Dec;8(4):581-593)。うがい方法としてはうがい薬を使用した方がウイルスは除かれることも分かっています。毎年、日本でも流行るインフルエンザウイルスA型と2003年に大流行した重度急性呼吸器症候群コロナウイルス(サーズコロナウイルス)についてうがい薬の効果を検証した研究があります(Infect Dis Ther 2018 Jun;7(2):249-259)。この研究は、それぞれのウイルスで汚れた喉の状態にして、うがい薬としてポピヨンヨード(商品名:イソジン)を用いています。イソジンの濃度はコップ半分量(100mL)に対して、6滴を加えた時が0.23%、0.6滴加えた時が0.023%、そして0.06滴を加えた時が0.002%となります。図から分かるように、うがいはうがい時間が重要です。うがい薬の濃度に関しては、あまり濃い濃度を使ってもウイルスに関しては意味がないこともお分かりになると思います。それよりもうがい薬をウイルスにしっかりと暴露することが大切です。図からも60秒間うがいをすれば、ほとんどのウイルスがいなくなることが分かります。1回のうがいで、3度うがい薬を口に運ぶとすると1度のうがいは20秒程度必要です。20秒って結構長いですよね。最初は数えながら、うがいをするのも良いかもしれません。