コラム

第86回 新型コロナウイルスとBCGワクチン接種

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  • sn

    なかなか収束を見ることが出来ない新型コロナウイルス(COVID-19)ですが、レムデシビルやアビガンと言った治療薬やワクチンの開発が世界中で進んでいます。この新型コロナウイルスはまだまだ分からないことが多く、たくさんの研究が待たれています。その分からないことの一つが、医療制度が十分でない国の方が欧米の国々よりも患者数、死亡者数とも非常に少ないという事実があります。患者数はPCR検査体制によって少なく見積もられることもありますが、死亡者数は正確です。この理由として、BCGワクチン接種が注目されています。医療制度が十分でない国々はBCGワクチン接種を行なっており、欧米の国々はこれを行なっていないのです。BCGワクチンはご承知のように、結核に対する生ワクチンです。昔はツベルクリン反応検査をしていましたね。本来、結核菌と新型コロナウイルスとは全く別物ですが、BCGワクチンが私たちの身体を免疫して、結核菌以外の外敵からも守ってくれる(これを異種非特異的保護と言います)かもしれないのです。実際に、2020年3月23日時点での各国の人口100万人あたりの新型コロナウイルスによる死者数は図の通りです(Med Hypotheses 2020 Apr 6 : 109707)。グラフの縦軸は2倍、3倍となっているのではなく、10倍、100倍となっていることに注意して下さい。ざっと見て、左側のBCGワクチン接種を行なっている国に比べて、右側の行なっていない国は死亡者数が10倍以上高いことが分かります。ちなみに、世界で最も死亡者数が多いイタリアはBCGワクチン接種を行なったことが歴史的にありません。
     医療は確実に進歩しています。この緊急事態宣言下でも私たちは身体と心の健康維持に努めていたいものです。

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