コラム

第87回 新型コロナ対策・ソーシャルディスタンス

一覧へ戻る

  • sn

    新型コロナウイルスに対する国の緊急事態宣言は解除されましたが、世界的には未だ収束を迎えていません。これから私たちは出来るだけ普通の生活を送りながらも、適切な配慮をしていく必要があります。その中の一つが他の方々との間に距離を置く、ソーシャルディスタンス(世界的にはフィジカルディスタンスと呼びます)です。このソーシャルディスタンスに関する効果に関する研究結果が世界で最も有名な臨床研究雑誌に報告されました(Lancet 2020 Jun 1, doi: 10.1016/S0140-6736(20)31142-9)。この研究は全世界の25697名の新型コロナウイルス患者が対象になりました。図に示したのは、ウイルスの伝染に関する人と人の距離と危険性の関係です。太い直線(回帰勾配)が測定値の平均で、それらの測定値は上下の点線(95%信頼区間)の中に入っています。なお、図の上に行くほど安全で、下に行くほど危険です。ですから、当然ですが人と人の距離が離れるほど安全になります。どの程度安全になるかというと、図の縦軸の1の違いは10倍差になりますから、感染源から10cmの距離に比べて、2m離れると縦軸の値は2大きくなりますから、危険性は100分の1に激減します。これを統計的に処理すると1m以上で効果が出ました。つまり科学的にはソーシャルディスタンスは1mです。
     次に知りたいのはマスクですが、この世界的な研究では、私たちが使っている使い捨てマスクや布マスクは効果が非常に小さいと報告しています。最も効果が高いのはファイスマスク(顔全体を覆うマスク)でした。一生懸命にマスクを国民全体に配布した我が国にはちょっと残念ですね。しかし、マスクや手洗いは私たちに感染に対する注意喚起するのは確かです。これからの季節、熱中症を含めた暑さ対策と均衡を取りながら上手にマスクを使用したいですね。

    仕切り線

一覧へ戻る

トップに戻る