第88回 新型コロナウイルスが苦手なもの
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現代社会は1918年より世界的に流行したスペインインフルエンザウイルス(スペイン風邪)から約100年を経て、今回のCOVID-19のパンデミックは地球全体に大混乱を引き起こしています。この最重要課題にもかかわらず、ウイルス名SARS-CoV-2の伝染経路はさまざまな機関で議論しても未だに不明です。近日では、これまでのエアロゾール感染だけでなく、空気感染も起こり得ると世界保健機構(WHO)は主張しています。空気環境が伝染に与える影響について、2020年1月から3月に掛けて、中国の様々な都市で測定・検討されました(Sci Total Environ. 2020 Aug 20; 731: 139178)。これは中国の研究者が研究用バスを仕立てて、中国各地を廻ったのです。この研究では、オゾン濃度、湿度、そして温度と感染者数との関係を調べています。オゾンというのは酸素の一種で、水道水の殺菌などに使われています。また、自然界にも空気の中に少し含まれます。測定された空気中のオゾン濃度は48.83から94.67μg/ m3の範囲でした。この結果は図に示していませんが、オゾン濃度が高くなると感染者は一気に減ることが分かりました。また、温度に関しては、-13.17から19℃では図にあるように、温度が高くなるにつれて患者数が増えています。一方で、このSARS-CoV-2は56℃を超えると急に効力がなくなることが分かっています。熱湯消毒や高圧滅菌は確実に有効です。また、湿度に関しては23.33から82.67%では図のように、湿度が高くなるほど患者数は増えています。SARS-CoV-2の生存には空気中の水分が必要なのです。なお、図の縦軸は数字が「1」大きくなると患者数は10倍増えることを示しています。
なお、この研究でも、社会的距離の確保とマスクの着用が重要であることが述べられています。これからも注意して生活したいものです。