第89回 新型コロナウイルスと運動
-
暑い日が続いておりますが、皆様にはお変わりありませんでしょうか?未だに新型コロナウイルスとそれがもたらす病気(COVID-19)が世界的に流行しています。そのような中で、ポピドンヨード(製品名:イソジンなど)の殺菌剤が話題に上ることが多いのですが、一方で、流行が長期化して、免疫にも関心が高まっています。ウイルスに対する免疫応答は、このようにすれば免疫力が最大に引き出せるという正解は残念ながらありません。免疫王応答は遺伝、年齢、身体状態などの要因に依存します。ですから、元々、ウイルスに強い人はいます。
免疫については幾つもの解説がネット上を賑わせていますので(ただし、正しい情報を選択して下さい)、今回はちょっと変わったところで、免疫と運動の関係について書かせて頂きます。運動は私たちの身体を傷つけますし、免疫力も下げます。つまり、運動は身体と免疫を刺激するのです。運動によって、炎症誘発性および抗炎症性サイトカインが放出され、リンパ球循環が増加するとともに、細胞動員が増加します。こうすることにより、私たちの免疫力を上げます(Clin Exp Med 2020 29 : 1–14.)。従って、定期的に運動を行う人はウイルス感染症の発生率を下げ、症状を軽減し、およびウイルスによる死亡率を下げます。
しかし、このCOVID-19の流行は多くの方にとって運動の機会を減らしているようです。COVID-19の流行前の2429人と流行中の1577人を対象にした運動量の調査があります(Heliyon 2020; 6(6): e04315)。詳細は図に示されています。日頃からたくさんの運動をしている人(高活動)ほど、運動量が減っていることが分かります。半分以下になっています。皆様もそういえば、近頃、運動ができていないなと感じておられる方も少なくないかもしれません。1日60分程度を目標に、少し身体を動かしてみましょう。