第90回 新型コロナウイルスと肥満
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我が国では、幾分新規感染者が減少して来ましたが、世界的に見ると第二波により再度感染者が増加する国々も少なくありません。イギリスのジョンソン首相の減量でより注目を集めましたが、新型コロナウイルスは昨年の流行直後から肥満の患者が重症化することが報告されました。新型コロナウイルスは肥満の人々の免疫系を損なわせ、炎症と低酸素症を悪化させます。その結果、深刻な病気と集中治療の必要性につながる可能性があります(J Obes Metab Syndr 2020; 29(2): 84–98)。
実際に、ニューヨークで新型コロナウイルスの検査を受けた11544人について、その背景とその後の予後についての研究があります(BMJ. 2020;369:m1966)。この10000人余りの中で5566人(48.2%)が陽性でした。さらに、このうち2741人が入院し、そのうち1904人が退院し、665人が死亡しました(経過観察患者あり)。この重症化の背景を調べた結果、その一つが肥満でした。図に示すように、肥満になるに従って、死亡する割合が増えました。肥満係数であるBMIが40を超えると急に死亡リスクが上がります。BMIが40となると身長170cmの人ですと体重は110kgを超えます。それならば大丈夫と思われるかもしれませんが、体重に加えて、悪化する要因は他にもあります。高齢者、男性、心臓病気、腎臓の病気などです。注意が必要ですね。
元々、このようなウイルスの流行では、運動する機会が減り、不健康な食事の増加によって体重が増える傾向にあります。これからも暫く続く新型コロナウイルスの流行の間、私たちは家庭での運動や健康的な食品の摂取など、オーダーメイドのライフスタイルの変更が必要になって来ます