コラム

第91回 年末年始と運動

一覧へ戻る

  • sn

    新型コロナウイルスの世界的流行が未だに衰えませんが、イギリスやアメリカでワクチンの一般接種が今月から始まります。来年はウイルスの懸念を払拭して、オリンピックを迎えたいものです。一方で、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が提言しているように、この年末年始は帰省やGO TOトラベルやグルメを控え、自宅でゆっくり過ごす時間が増えるかもしれません。自宅でゆっくり過ごすとなると気になるのが運動不足です。欧米でも12月に3週間から1ヶ月の間続くクリスマス休暇でこの運動不足がしばしば問題となります。
     腹部肥満およびメタボリックシンドロームの患者さんを対象としたクリスマス休暇の不健康様態と運動の効果との関係について研究が発表されました(Int. J. Environ. Res. Public Health 2020, 17, 4732; doi:10.3390/ijerph17134732)。メタボリックシンドロームのために運動トレーニングを受けている38人の男性は、クリスマス休暇の3週間、トレーニングを継続する運動群(n = 16)と中止するコントロール群(n = 22)に被験者をランダムに割り当てられました。両方の群は、すべての身体パラメーターが類似していました(p> 0.05)。運動は休憩時間も入れて43分間のエアバイク運動です。図に示すように、クリスマス休暇中も運動を継続した群は、コントロール群が体重増加したのに比して体重は僅かだが減少しました。また、平均血圧もコントロール群が増加したのに対して減少しました。この図では示していませんが、悪玉コレステロールの増加とインスリン感受性の低下も運動は抑制しました。ちなみに様々な測定がなされましたが運動によって悪化した指標はありませんでした。
     以前にも書かせて頂きましたが、アフターコロナの時代、適度な運動をもっと大事にしていきたいものです。

    仕切り線

一覧へ戻る

トップに戻る