コラム

第93回 靴と脚力

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  • sn

    新型コロナ禍が長期化しています。これまでも述べて来たように、自粛生活に重要なのは食と運動です。この冬場は、多くのマラソン大会が開催されていました。マラソンでは一昨年くらいからナイキのピンクシューズを多くのランナーが履いており、高反発の厚底シューズは使用禁止になるのではないかと論争にさえなりました。速くかつ長距離を走ることはない私たちでも、なんとなくシューズは気になります。本当にランニングシューズは役に立つのでしょうか。これを脚の筋電図(筋肉の動き)で調べた研究が発表されました(PLoS One 2020; 15(10):e0239852)。研究では、ランナーに歩行と走行を行なってもらいました。そして、前脛骨筋、長腓骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋、外側広筋、および大腿二頭筋について筋電図を測定しました。筋電図はその動きが大きいほどよく運動していることを示します。ここでは歩行時の図を示しています。コントロールとして裸足の状態で歩いた場合の筋電図を測定し、その後、ランニングシューズを履いての歩行ともう一度裸足での歩行を行い、コントロールとの差を示しました。1回目の歩行を何故行なったのかと疑問に思われる節もあろうかと思いますが、これはこの試験に慣れるためです。その結果、前脛骨筋、長腓骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋、外側広筋、および大腿二頭筋についてランニングシューズと裸足を比べると腓腹筋以外は常にランニングシューズは筋肉を使用させ、歩行の力を呼び起こすことが分かりました。特に、ランニングシューズで大きな効果が出た前脛骨筋は、歩行時の踵を着地するときと離す時に使用され、外側広筋は、膝の運びに使用されます。やはりランニングシューズは歩行に有効ですね。

    仕切り線

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