コラム

第98回 レスベラトロールと心臓・血管・腎臓

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  • sn

    東京オリンピックの開催を今月に控え、新型コロナウイルスワクチンの接種も1回目については、原稿を書かせて頂いているこの時点で3,000万人を超えました。早くコロナ禍が終息することを祈っています。
     さて、このコロナ禍で機能性食材、特に抗酸化食材に注目が集まっています。ここでは、心臓、血管、そして腎臓の病気を予防する物質として、レスベラトロールに注目した論文が発表されましたので紹介したいと思います(Int J Mol Sci 2021 Apr; 22(8): 4210)。レスベラトロールはポリフェノール化合物の一種で、多面的な機能が報告されています。心臓、血管、そして腎臓の病気に関しては、近年の疫学調査(個人ではなく、集団を対象とした病気等に関する研究)では、これらの病気は若い時の生活習慣や生活環境が重要であることが分かっています。加えて、途中でこれらの習慣や環境を変えることで、病気の発症リスクを抑えられることも明らかになりました。さらに、強い抗酸化物質であるレスベラトロールがこの習慣や環境を変える手助けをすることが示されました。このような役割を担うものを「リプログラミング剤」と言います。図に示すように、口から摂ったレスベラトロールは消化管から、血管を通して、心臓や腎臓に向かい遺伝子やタンパク質に直接作用して保護します。ここでレスベラトロールの特徴的な点は、レスベラトロールは肝臓や腸内細菌で変化させられた誘導体や抱合体、そして、分解物である代謝体にも心臓、血管、そして腎臓を保護する作用があることです。他の機能性食材はそれが体内で変化させられたり、分解されたりするとその効力がなくなりますが、レスベラトロールはその全てが効果を持つのです。

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