第99回 CBD(麻)オイルに健康効果はあるのか?
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オリンピックが始まっており、日本選手の目覚しい活躍が報じられています。一方で、東京などでは未だに新型コロナウイルスの感染が拡がり見せています。早く若い世代にもワクチンが行き渡ることを祈っています。
さて、この1ヶ月、何故か、週刊誌や医師たちからのCBD(麻)オイルについての問い合わせが増えています。確かに、大麻の兄弟のような植物から採取されるので、何らかの精神作用が期待されるのも仕方ないかもしれません。ちなみに、私も分析してみましたが、大麻成分は含まれていません。このCBD(麻)オイルの健康効果に関する研究が発表されました(Psychopharmacology (2021) 238:1965–1977)。麻の有効成分をカンナビジオールと言いますが、これらには薬理作用(薬のような作用)と期待作用(心理的な作用)があると言われています。この研究では、43人の健康な成人(23人が女性)が2つの実験室に入り、ランダム化クロスオーバー試験を受けました。カンナビジオールが含まれる、あるいは含まないオイルを摂り、その後、マーストリヒト急性ストレステスト(たくさんの計算をさせたり、氷水に手を入れたりするテストです)を受けました。このテストの間、ずっと心電図が記録されています。この結果、図に示すように、一般に言われているようなCBD(麻)オイルの主観的なストレスや不安に対する体系的な効果は観察されませんでした。一方で、生理学的な鎮静効果とそれを裏付ける副交感神経の低下(迷走神経緊張強度)が記録されました。CBD(麻)オイルは期待される効果はありませんが、鎮静作用はあるようです。