コラム

第100回 味噌汁の健康効果

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  • sn

    このエッセイを書かせて頂いている時点で、我が国でもようやく2回のワクチン接種率が50%を超えました。20代あるいは20歳以下の若者の新規感染者が半分程度に及んでいることを考えると、早く若い人たちにもワクチン接種が広がることを希望します。
     さて、今月は在宅時間が増えて、注目度が上がった味噌汁について解説したいと思います。この研究では味噌がヒトの血圧に及ぼす影響を調査することを目的としました(Hypertens Res. 2019 Nov;42(11):1757-1767)。この研究では正常高値血圧(収縮期血圧130-139mmHg)またはI段階軽症高血圧症(収縮期血圧140-159mmHg)の40〜69歳の合計40人の被験者を2つのグループにランダムに割り当てました:1)味噌グループ(1日32 g)と2)対照大豆食品グループ(1日14.4gの大豆食品)。主要栄養素は味噌と対照の食品で同等でしたが、食物繊維と塩の量は味噌の方が多くなりました。この味噌あるいは大豆食品を8週間摂り(味噌は味噌汁として摂取)、昼間および夜間の血圧を測定しました。大豆食品の摂取量と比較して、8週間の味噌摂取は昼間の血圧に影響を与えませんでしたが、夜間の血圧を有意に低下させました。また、味噌は夜間の血圧基準値をより低くすることも分かりました。なお、味噌の摂取は脂質やブドウ糖の代謝に影響を与えませんでした。さらに、図に示すように、大豆食品グループに比べて、味噌グループは統計的有意に体重が減少することも分かりました、これらの結果により、味噌は、体内の体液空間を小さくしたり(むくみの減少)、アドレナリン作動性神経系を非活性化(血管の拡張)することが分かりました。

    仕切り線

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