第101回 難治性難治てんかんとCBDオイル
-
神無月に入り、ようやく全国的に非常事態宣言が解除されました。終息宣言はまだ先のことになろうかと思いますが、今後、ますます健康への意識が高まっていくだろうと思われます。今回は、2ヶ月前に少し書かせて頂いた大麻草から採取されたCBDオイルの続報を書かせて頂きます。先日、このCBDオイルの講演を行いましたが、386名の医師が参加して下さいました。関心の高さが伺えます。このCBDオイルは大麻草から取れますが、麻薬成分のテトラヒドロカンナビノールは含まれていません。このCBDオイルを使った治験(薬として認めるか否かの有効性試験)を開始すると厚生労働省が本年4月に発表しました。その対象となる病気が、今回紹介させて頂く難治性小児てんかんです。この病気の乳児は、1週間に500回以上のてんかん発作を起こします。これに対して、日本のチームはCBDオイルを飲ませる試験を行いました(Epilepsy and Behavior Reports 10.1016/j.ebr.2020.100373)。対象となる乳児は妊娠39週で出生し、直後からてんかん発作に苦しみ始めました。このような時に一般的に使用するてんかん薬であるフェノバルビタールや双極性障害薬であるラモトリジンなどの強い薬を12種使用しましたが全く効果はありませんでした。そこで、生後207日目からCBDオイルを投与しました(図参照)。すると、てんかん発作は減少して、生後234日までに完全になくなりました。今回の試験はたった1人の乳児だけを対象にしています。今後、さらなる研究が必要ですが、初めの一歩となる報告だと思います。