第102回 タンパク質は朝、昼、晩に摂りましょう。
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新型コロナウイルスの新規感染者数が2桁になり、日常が戻って来ました。3回目のワクチン接種も含めてこれからの様々な施策を行って行かねばなりませんが少し見通しがついて来ました。喜ばしい限りです。そのような中で、このエッセイを書かせて頂いている前日に、高校生300名を対象にした講演会を開催しました。この2年間こもりがちだった若者に刺激を与えたかったのです。講師は私の高校の先輩である大隅良典先生(2016年度ノーベル生理学・医学賞)と中満泉先生(国連事務次長;ニューヨークからリモート講演)でした。高校生たちの眼は輝いていました。
さて、今回注目したのはここ数年、たくさんの製品が生み出されているタンパク質(プロテインと呼ばれています)です。従来は、1日あたり体重×0.8のグラム数が目安と言われて来ましたが(例えば、体重50kgの人ですと40g)、近頃では筋肉をつけるために、体重×3のグラム数とさえ言われています。タンパク質を摂るときの注意は、タンパク質を摂り過ぎると腎臓に負担がかかるということです。注意が必要です。このタンパク質をどのタイミングで摂れば良いのかを研究した論文が出ています(J Nutr 144:876–880, 2014)。この研究では、8人の健康な成人男女を対象に、30日間の予備期間を設けて、その後7日間に渡り、朝昼晩と均等にタンパク質を摂る群と不均質に摂る群に分けて、血液検査と筋肉生検(筋肉の一部を取る)を行いました。その結果、図に示すように24時間の混合筋合成速度は、均等摂取群は不均等摂取群よりも25%も筋肉を作る速度が速くなることが分かりました。また、この効果は7日間に亘ることも判明しました。どうしてもタンパク質は朝食では少なく、夕食では多くなりがちです。朝、しっかりタンパク質を摂りましょう。