第108回 ベジタリアンの食事
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近頃、ベジタリアン(肉や魚を食べない)やヴィーガン(肉や魚に加えて、卵、蜂蜜なども食べない)などの食事が注目を浴びています。イスラエルなどに行くとベジタリアンやヴィーガンのためのレストランの方が多いほどです。日本では、ベジタリアンやヴィーガンの食事は「身体に良い食事」との印象が強いようです。この食事が健康に良いか比較検討した研究がなされました(Nutr Rev. 2019 Mar 1;77(3):144-160)。ここでは、ベジタリアンやヴィーガンをまとめて、菜食主義者とし、それ以外の食事を摂る人たちを非菜食主義者としました。
この研究では、先行する菜食主義者と非菜食主義者の成人の食事の質を比較する12の研究をまとめました。2人のレビューアが研究の適格性を評価しました。菜食主義者は果物、全粒穀物、植物性タンパク質(大豆など)、塩などで、身体に良い食事が出来ていました。一方で、非菜食主義者は精製穀物、総タンパク質などで、身体に良い食事が出来ていました。図には、エンプティーカロリー(カロリーは高いのに栄養素が乏しい)と塩について比較したものを示しました。菜食主義者の食事の方が、低いカロリーで栄養素が豊富であり、塩分が少ないことが分かりました。
この研究では、菜食主義者の食事は優れているように思われますが、タンパク質不足や貧血が生じる可能性があることにも注意が必要です。個人的な見解ですが、できるだけ多品種の食材を摂ることが健康には良いと思います。