コラム

第111回 熱中症対策

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    近年の気候変動は極端かつ持続的な暑さをもたらしています。今回はこの暑さによって生じる熱中症について書かせて頂きます。我が国では、毎年40万人を超える熱中症患者が病院へ搬送されます。自宅や職場で回復した人を含めると非常に高い頻度で熱中症は発生しています。この熱中症に対しては日本救急医学会が「熱中症診療ガイドライン2015」を出版しています。このガイドラインは我が国だけでなく、我が国よりもさらに暑い東南アジアの国々でも活用されています(Acta Med Indones. 2020 Jan;52(1):90-97)。
    今日の熱中症は図にも示すように、熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病を含む症状の総称です。熱中症の診断基準として、「意識障害、体温40℃以上、発汗停止」が挙げられていることがありますが、これは熱射病の診断基準です。ここまで症状が進むと後遺障害が残る可能性があります。熱中症の診断基準は、図にもあるように、暑熱環境にいる、あるいはいた後に、めまいや失神などの症状が出たら熱中症だと思って対処します。診断は非常に難しく、国際的にもまだ多くの議論がなさています(West J Emerg Med. 2021 Feb 26;22(2):186-195)。このため、熱中症の症状が出たら、速やかに(1)適切な飲み物を摂ることと、(2)身体を冷却すること、そして、それでも症状が改善しない場合には、速やかに(3)病院へ搬送することが勧められます。

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