第118回 食酢の作用
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今回は発酵シリーズのひとつ、食酢についてです。食酢は世界的に利用される調味料の一種ですが、日本の研究グループが食酢を摂取することでメタボリックシンドロームの予防になる可能性があることを見出しました(Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Aug;73(8):1837-43)。
食酢の主成分は酢酸です。ただ、発酵食品ですので、この酢酸だけでなくたくさんの酸が含まれています(これらを総称して有機酸と言っています)。この研究は二重盲検試験で行われました。試験の対象者である被験者は、体重、BMI、腹囲の 3つのグループに無作為に割り当てられました。食酢は12週間続きましたが、各グループの被験者は、15mlの酢(750mg酢酸;図の中では「低用量」と表記しています)、30mlの酢(1,500mg酢酸;図の中では「高用量」と表記しています)、または0mlの酢(0 mg酢酸;図の中では「コントロール」と表記されています)のいずれかを含む飲料を毎日500 ml摂取しました。体重、BMI、内臓脂肪面積、腹囲、血清トリグリセリド値は、どちらの食酢摂取群でもコントロール群よりも有意に低くなりました。 結論として、毎日の酢の摂取は肥満を軽減する可能性があります。なお、この効果は別のグループの動物実験でも確認されています。