コラム

第122回 フラバンジェノールとその仲間

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    急激に気温が下がって来ました。体調を整えるのも難しい時期です。皆様、何卒、ご自愛下さい。旧暦10月は「神無月」と呼びますが、先日、出張で行った島根では「神在月」と呼ばれていました。ご承知のように、萬の神々が出雲大社に御神幸されるためです。
     猛暑が続いた今夏、私たちの身体は疲れています。こんな時には外界からの酸化ストレスを防いでくれるのが、抗酸化物質です。食べる抗酸化物質として、私たちを守ってくれるのがフラボノイドです。フラボノイドは4,000種類以上存在しますが、私たちがよく知っているお茶のカテキン、赤ワインに含まれるアントシアニン、ゴマに含まれるセサミンなどもこのフラボノイドの一種です。たくさん存在するフラボノイドの特徴は、化学構造の二重結合(炭素と炭素を結びつける”=”で表される)と水酸基(-OHで表される)で知ることができます。図には、フラボノイドの代表物質・フラバンジェノール、近頃、チョコレートに含まれることで宣伝されているフラバン-3-オール、そして、玉葱にたくさん含まれることで有名になったケルセチンの化学構造式を示しました。抗酸化能力(二重結合の数)として比較するとどれも素晴らしい抗酸化物質であることが分かります。一方で、水への溶けやすさ(水酸基の数)はフラバンジェノールとケルセチンが優れていることが分かります。なお、ケルセチンは大量に摂り過ぎると発がん性や毒性が問題となることも知られています。
     フラバンジェノールはこれらの特性から、心血管系疾患の予防(J Pharmacol Sci. 2011;115(4):461-5.)や高脂肪食摂取時の体重増加抑制効果(Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Nov;73(11):2374-8.)を示すのだろうと推察されています。

    仕切り線

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