コラム

第123回 大麻と病原菌

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  • sn

    11月に入り、寒さが一気にやってきました。今年は秋物をクローゼットから出すことなく、冬物のお世話になっています。さて、巷では規制対象外の大麻関連商品CBD(カンナビジオール)を売る店が増えました。麻薬として規制対象となっているのは未成熟な大麻の花などで、成熟した大麻の茎や葉は麻薬効果が著しく小さいということで規制対象外になっています。その結果、食品や美容液などにCBDが使われるようになりました。
    しかし、意外に知られていないのは大麻原料には病原種である真菌(カビ)が付着していることです。この真菌をアスペルギウスAといいますが、これをヒトが取り入れてしまうと病原体になります。特に、肺に影響が出易く、肺アスペルギウス症などを発症しますが、怖いのは稀にですが、脳、心臓、肝臓、腎臓にまで広がるのです。これを防ぐために、米国では大量の放射線をあてて、この真菌を殺してしまう試みが始まっています(PLoS One. 2022 Nov 15;17(11):e0277649)。現在、殺菌するためには、(1)高圧蒸気、(2)ガス、あるいは(3)放射線が利用されます。現在、世界で使用されているのはそれぞれがほぼ3分の1程度となっています。このうち、大麻に使用することが試みられている放射線の場合には1000Gy(この単位はグレイと呼びます)以上を使用しますが、10Gyの放射線をヒトが全身に浴びた場合には100%死亡することで分かるように、殺菌に使用される放射線は驚くほど大量です。それほど大量の放射線であるため、大麻成分に変化が生じるかもしれないと分析した結果が図です。このように、大麻成分は大量の放射線でも全く変化しませんでした。これからどんどん合法な大麻関連製品が世の中に出てきますが、いろいろなことに気をつけて使用したいものです。

    仕切り線

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