コラム

第127回 オリーブオイル有効成分の吸収

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    弥生に入り、雨が続きますが、三寒四温を経て、一歩ずつ春本番になろうとしております。ただ、今年は早い時期から花粉が飛散しております。
    さて、このコーナーでもたびたび地中海食を取り上げていますが、単にダイエット効果だけなく、循環器系(心臓や血管)を健康に保つ働きがあることが知られています。この地中海食について、よく受ける質問があります。地中海食の中心となる「オリーブオイルには、バージンオイルやエクストラバージンオイルなどいろいろな種類がありますが、どれが良いのですか?」というものです。オリーブオイル自身はオメガ9系のオレイン酸を中心として、どのグレードの油も変わりがありません。一方で、オイルに含まれる抗酸化物質であるポリフェノールの量に違いがあります。普通のオリーブオイルよりもバージンオイルが、それよりもエクストラバージンオイルが、より多くポリフェノールを含んでいます。さらに、勉強されている方は「オリーブオイル中のポリフェノールは胃酸によって分解されないのですか」ともお尋ねになります。これについては、詳しく研究した論文があります(Br J Nutr. 2011 Jun;105(11):1607-1618)。オリーブオイルの主たるポリフェノールである3,4-DHPEA-EA)および3,4-DHPEA-EDAはオリーブオイルのフェノール含有量の約 55 % を占めます。図は試験管の中で胃酸と同じpH 2で体温と同じ37℃でのこれらのポリフェノールが分解されるかを検討した結果です。胃の中で4時間、消化されてもこれらのポリフェノールは79%が残留することが示されました。これらのポリフェノールは小腸内で還元型あるいは抱合型に転換されますが、これらは新たな生理学的代謝産物となります。
    オリーブオイルの選択は金額との相談になろうかと思います。が、身近な食品について関心を持ち続けることが重要だと思われます。

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