第128回 全粒粉と便秘
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先にも書かせて頂きましたが、食物繊維が再び注目を集めています。以前には、食物繊維は腸内細菌の餌になることで注目されていましたが、現在では、それから更に研究が進んで、腸内細菌叢(腸内フローラ)の改善は、免疫力を高め、筋肉を付け、脳機能まで改善することが指摘されています。そのような中で、主にチコリ、ブロッコリー、全粒穀物から構成されたベジパウダー (VP) の排便習慣の改善と便秘の軽減に対する効果を評価する研究がなされています(J Cancer Prev. 2015 Mar;20(1):64-9)。研究は便秘の評価方法であるローマ基準Ⅱを用いて、便秘症状と診断された20代男女96名を対照群とVP摂取群に分けました。対照群の被験者にはライスフレーク粉末(RFP;炊いたご飯を押しつぶして乾燥させたもの)が与えられ、VP摂取群には30gのVPが1日2回、4 週間与えられました。便秘解消効果は、RFPまたはVP摂取後、0、14、28 日目の便の硬さ、便の量、不完全排出の感覚、および排便時のいきみに応じて、5段階で調査されました。この研究の結果、反復測定分散分析により、VP摂取により、便の硬さ、量、残便感、排便時のいきみに大きな時間的変化が生じることが明らかになりました。さらに、対照群とVP摂取群の間には、実験食摂取の14日目と28日目における便の硬さ、量、不完全な排出の感覚、および排便時のいきみにおいて有意な差が見出されました。最終的に、主にチコリ、ブロッコリー、全粒穀物から構成されたVPを摂取した便秘患者は、RFPを摂取した対照群と比較して、摂取2週間および4週間で便秘症状が改善したことを示しました(図参照)。日々の食事のちょっとした改善は私たちの生活の質(QOL)を変える可能性があります。毎日の食事を見直してみたいですね。