コラム

第134回 銀杏(イチョウ)

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  • sn

    ようやく暑さも落ち着いてきました。日毎に温度差があり、体調を崩しやすくなっています。皆様、ご自愛をお願い致します。
    神奈月に入ると科学界ではノーベル賞の季節になります。2024年のノーベル生理学・医学賞は「マイクロRNAとその転写後遺伝子制御の仕組みの発見」という難しい研究に決まりました。この研究はヒトだけでなく、地球上の生き物全体に関わる重要なものです。ただ、個人的には、このマイクロRNAの応用技術であるRNA干渉という研究が先にノーベル賞を受賞しているので「もうないだろうなあ」と思っていました。
    さて、秋が深まって来ると、東京では銀杏並木がニュースになります。我が国では、銀杏の仁(じん)を「ぎんなん」として珍重されますが、欧米では黄色の外果皮は特有の悪臭があり、触るとビロボールという物質がアレルギーを起こすことがあるので、嫌われています。それでも、イチョウ葉や黄色の外果皮には多くの作用があるため、昔から治療薬として研究が進んでいます(Neurotherapeutics2019, 16(3): 666–674)。特に、記憶力や加齢に伴う認知機能の低下を改善するために高齢者が摂取する人気の栄養補助食品です(図を参照して下さい)。ただ、すでに認知症の治療を受けているヒトに対するイチョウの追加効果については未だ判明していません。あくまで、現状で認知症に不安があるヒトが試してみるスタンスが良いのではないかと思います。今秋、銀杏の木を見たら、ちょっとだけ認知症について考えてみて下さい。

    仕切り線

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