第3回呼吸の話
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前月号まで、ヒトにとって大事な水についてお話をさせて頂きました。今月号からは3回に分けて、水と共に重要な空気の話をさせて頂きます。
御承知のように、私たちは、肺を使って酸素を取り入れて、捨てられるべき二酸化炭素を身体の外に出します。運動時は別にしましても、普通の呼吸では、1回の呼吸で約500mL(ペットボトル1本分)の空気を吐き出し、そして吸い込んでいます。これを1分間に12回ほど繰り返しますから、1分間で6Lほどの空気を出し入れしているわけです。
私たちの肺は、約75%は横隔膜(おうかくまく)を上げ下げして肺を拡げたり縮めたりして呼吸します。ちなみに、この横隔膜が痙攣するとしゃっくりになります。この横隔膜は胃につながっていますから、しゃっくりの時に、冷たい水を飲むのは胃を刺激して、横隔膜の痙攣を止めるためです。なお、あとの約25%は胸の筋肉を使って呼吸します。
空気は、まず鼻や喉(のど)を通る時に、温められ、肺の中が乾燥しないように湿り気を与えられます。次に、食道と気道を分ける喉頭蓋(こうとうがい)を通って気道に入ってきます。この空気は幾つもの枝分かれをして気管支に入っていき、最後には、肺を作る肺胞まで空気を送ります。
この肺胞は3億個以上もあり、これを広げるとテニスコートの1/3にもの広さになります。なお、気管支は生理的に午後6時頃に一番拡がり、午前6時頃に一番狭くなります。喘息などの発作が朝方に多いのは、気管支が最も狭くなるからです。