第6回消化の話~その1
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植物は葉緑素を持っているために、水、光、そして二酸化炭素があれば、自ら栄養を作り出すことができます。しかし、私たち動物は、自分で栄養を作れませんので生きていくために体外から食べ物を摂る必要があります。この食べ物はそのままの形では私たちの身体は利用することができません。食べ物を分解し、腸管から吸収できる形にしなければいけないのです。この分解を「消化」と言います。
消化を行うための器官を消化管といいます。ヒトの消化管は、食べ物が通る順に、口腔(口)、咽頭(のど)、食道、胃、小腸、大腸、肛門、さらにこれに加えて、食べ物を分解するための消化液を出す肝臓、胆嚢(たんのう)、膵臓(すいぞう)から、出来ています。
消化液には、食べ物を分解する酵素(こうそ)が含まれています。特に、消化を促す酵素を消化酵素と呼びます。消化液で最も良く知られているのが唾液でしょう。唾液の中にはデンプンを分解する消化酵素が含まれています(食べ物を良く噛みましょうというのは、食べ物を歯で粉々に粉砕し、食べ物を濡れた状態にすると同時に消化酵素と食べ物を混ぜ合わせる意味もあります)。
ちなみに、唾液は1日に1リットル以上も出ています。もしこの唾液が出なくなると、消化が悪くなるだけでなく、粘膜が荒れて、口内炎などを引き起こします。首より上のがんを放射線治療する時に、唾液が出なくなる副作用が見られることもあります。次回は、もう少し消化液について解説させて頂きます。