第7回消化の話~その2
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今回は消化と糖尿病のお話をします。
我々、現代人は、生活の変化に伴って様々な病気を引き起こしたり、既にある病気を悪化させたりしています(これらの病気を生活習慣病といいます)。その中でも糖尿病は食生活や運動習慣と密接に関係した生活習慣病です。現在、日本では約2,300万人の糖尿病患者とその予備軍がいると報告されています。
糖尿病の薬物治療には、①糖を代謝させるインスリンを注射する、②インスリンの膵臓からの分泌を促す、③腸管からの糖の吸収を抑える、④インスリン抵抗性(インスリンがあっても効きにくくなっている状態)を改善する、方法があります。
この中で、特に、③の腸管からの糖の吸収を抑える方法は、薬にだけ頼る必要はなく、食べるものや食べ方によっても同じ効果を得ることができます。お米やパンなどの炭水化物や砂糖などの糖は、消化液の中のアミラーゼやグルコシダーゼなどの酵素によってブドウ糖まで分解されないと腸管から吸収されません。すなわち、これらの酵素を働かなくしたり、働きにくい食事を摂れば良いのです。
GI値という言葉を聞いたことはありますか?グリセミック指数といい、炭水化物が消化されて糖に変化する速さを相対的に表す数値です。つまり、血糖値が急激に上がる食べ物ほどGI値が大きくなります。
糖尿病を抑えるためには、このGI値が低い食べ物(例えば、野菜、豆、ナッツなど)を中心に食べたり、GI値が低い食べ物を先に食べ、その後に肉やお米などを食べると、血糖値が上がり難くなることが知られています。食事の質を落とさず、血糖値は抑える。そんな食習慣を身に付けたいものです。