第23回認知症の発見、予防、そして治療(3)
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認知症の治療はまだまだ手探り状態です。治療薬は勿論ですが、いろいろな食材が認知症に聞くのではないかと研究が進められています。
例えば、タンパク質(肉や大豆などに含まれる栄養素)が分解してできるアミノ酸の一種であるトリプトファンは、身体の中に吸収されると脳に運ばれ、神経を刺激する物質の原料になります。従って、トリプトファンが認知症を予防する効果があるかもしれないと多くの研究が進んでいます。
また、近頃ではマスコミや出版を通して、ココナッツオイルが認知症に効果があるかもしれないと注目されています。これは2009年に発表された研究が基礎になっています(図参照)。ココナッツオイルに10%程度含まれる中鎖脂肪酸を“軽度~中程度”のアルツハイマー症患者に摂取してもらうと偽薬(プラセボと言います:見た目には中鎖脂肪酸と区別がつかないもの)を摂取した患者に比べて認知症スコアが改善しています。
ここで注意しなければいけないのは、「糖尿病の人は中鎖脂肪酸摂取を控える必要がある」、そして「APOE4という遺伝子を持っている人には中鎖脂肪酸は効かない」ということです。これからもたくさんの効果がありそうな食材が出てきますが、慎重に研究していく必要があります。