コラム

第24回認知症の発見、予防、そして治療(4)

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  • sn

    前々回のこの欄で、現在日本で認められているアルツハイマー病の薬はアセチルコリンという物質を作り出して、脳を刺激することで認知症が進むのを妨げることができます、と書かせて頂きました。しかし、脳を刺激することは薬を使わなくても作り出すことができます。

    例えば、楽しいことをしている時や勉強をしている時などです。随分以前になりますが、脳トレというものが流行りました。これは簡単な勉強を繰り返すことで、脳の前頭葉を刺激し、認知症を防いだり、脳の働きそのものを良くしようと言うものです。勉強は嫌いだと思われる方は、趣味を持つのも認知症の予防に役に立ちます。

    これはネズミの実験ですが(図参照)、遺伝的にアルツハイマー病を起こすようなネズミは籠の中で飼育しますと、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβ(ベータ)というタンパク質が脳に溜まって認知症になっていきます。この時、脳は黒ゴマをまぶしたような見た目になります。

    このネズミの籠の中にボールを入れると、ネズミはボールを床敷き(おがくず)の中に埋めたり、それを掘り返したりの遊びを始めます。そして、この遊びを行うネズミはなんとアミロイドβが減るのです。更に、籠の中に、回し車を入れると、ネズミは楽しそうに運動を始めます。そうすると、ボールの時以上にアミロイドβが減ります。

    まだ、ネズミの実験のレベルですが、楽しいことを積極的に行うことが認知症には良いことが証明されたのです。私たちも、楽しく、頭を使って、認知症を防いでいきましょ

    仕切り線

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