第28回肥満(3)
-
肥満の第3回目です。
肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病を発症させ、発症した生活習慣病を悪化させる原因となります。肥満はご存知のように脂肪が問題であり、約2年前に書かせて頂いたように、女性は皮下脂肪が、男性は内臓脂肪が問題となります。近年では、肥満では脂肪と筋肉のバランスが大切であることも分かって来ました。
脂肪が多く、筋肉が少ない肥満を「サルコペニア肥満」と言います。サルコペニアとは筋肉が減ることを言います。この型の肥満は高齢者に多いのですが、近頃では、無理なダイエットを行なっている人、または過去に行なった人にもこの型の肥満がでることが知られてきました。人が絶食をした場合、ヒトは身体の危険を感じ、最も大切な「脳」を守ろうとします。「脳」はブドウ糖でしか動かすことができません。
そこで、ヒトは絶食状態になると、肝臓などに蓄えられた糖(グリコーゲンなど)を最初に壊してブドウ糖を作ります。まったく関係ありませんが、お菓子メーカーのグリコ(江崎グリコ株式会社)という名前は初代の社長がグリコーゲンの研究をしていたところから名付けられています。
身体のグリコーゲンなどがなくなると、身体は脂肪を使います。この脂肪も減ってくると次にはタンパク質(筋肉や内臓など)を壊して身体を守ろうとします。また、脂肪やタンパク質を壊してブドウ糖を作るのが間に合わず、脳や心臓の働きが悪くなる場合もあります。急激なダイエットは危険なのです。