第30回えごま油(1)
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えごま油が注目を集めています。
これはえごま油に含まれるオメガ3系の油、つまりα(アルファ)リノレン酸の血管に対する良い効果が知られるようになってきたためです。えごま油はしそ科で、インドから東南アジアが原産のえごま(写真)の実から絞られた油です。種子が同じように見えますし、名前も似ていることから、えごまはゴマの仲間だと思われがちですが、ゴマはごま科ですから、えごまとは異なった種類に属します。勿論、えごま油はゴマ油とは異なった油です。
このえごまは縄文時代の遺跡からも見つかるほど古くから我が国で栽培され、食用油の中心を担って来ました。ただ、江戸時代になって、それまで野菜として利用されてきたアブラナからの採油が盛んになると、単位面積当たりの油収量が少ないえごまは栽培されなくなってきたのです。しかし、近年、αリノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などに代表されるオメガ3系油の健康効果が見直されるにつれて、再び脚光を浴びたのです。
昔は、このオメガ3系油は、同じく必須脂肪酸であるオメガ6系油に比較して、体内で利用される率が低いので要らない油とされました。しかし、その健康効果が知られた現在では、厚生労働省は、男性では1日2.2g、女性では1日1.9g以上の摂取を推奨しています。