第33回えごま油(4)
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えごま油について、前回は糖尿病に関する研究について説明させて頂きました。今回はうつ症状に関する研究について解説させて頂きます。
52名の急性心筋梗塞患者を2つのグループに分け、半分の26名はそのまま通常の治療を施し、残りの26名には通常の治療に加えて、発症3日後より1日1gのオメガ3を1ヶ月間摂取してもらいました。そして、1ヵ月後にうつ症状の診断テスト(ベックうつ評価尺度)を実施しました。このテストは主観的な評価で、例えば以下のような問いから出来ています。
0 私は落ち込んでいない
1 私は落ち込んでいる
2 私はいつも落ち込んでいるから急に元気にはなれない
3 私はとてもがまんできないほど落ち込んでいるし不幸だ
この試験の結果、オメガ3を摂取していないグループではうつ症状は変化がなかったのですが、オメガ3を摂取したグループでは統計的有意にうつ症状が改善しました(図参照)。うつ症状を生涯に患う人は全人口の5%程度だと言われています。そして、常に100万人程度がうつ症状を呈しています。
現代のストレス社会ではうつ症状をまったくなくすことが難しいと思います。うつ症状がひどくなった場合には医師による治療が必要ですが、毎日の心のケアにはオメガ3も貢献することが出来るかもしれません。