第35回食事を考える(1)
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今月から数回に亘って、食事について総合的に考えるエッセイを書かせて頂きます。このように企画を立ち上げますのも、昨年は5年ぶりに「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)が出されました。この中では、これまでとは異なる推奨量なども出されており、この5年間で食事に関する考え方が変わって来たことが知られます。
さて、今回は日本人の摂取エネルギーです。テレビや雑誌ではダイエットが特集され、女性は70%以上、男性でも50%以上がダイエットを行ったことがあるという調査もあるほど日本人には関心が高いダイエットです。一方で、痩せ過ぎも近年、問題になってきており20代女性の4分の1ほどが痩せ過ぎであると言われています。
では、国民一人あたりの摂取エネルギーは戦後どのように変化してきているのでしょうか。図に示すように、太平洋戦争直後の昭和21年(1946年)には、戦後の食料品の不足により日本人の摂取エネルギーは1900キロカロリー程度まで減りました。その後、高度成長期には20%以上も増加しましたが、次第に減少に転じ、現在では戦後すぐの昭和21年よりも少なくなっています。
それでも、食事を主原因のひとつとする生活習慣病は増え続けています。これは生活習慣病は総エネルギー(カロリー)の問題ではなく、食事の内容(バランス)の問題だということが分かります。次回からもう少し詳しく、食事について考えていきたいと思います。