コラム

第40回食事を考える(6)食物繊維

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    食物繊維は昔、栄養素とは考えられていませんでした。もともと食物繊維は「人間の消化酵素では分解できないもの」として定義されたため、分解できず吸収できないものは不要なもので栄養にはならないと考えられたからです。食物繊維の定義は各国によって異なり、欧米で食物繊維として表示されているものが必ずしも日本で言う食物繊維ではない場合もあります。

    日本人の食物繊維摂取量は昔に比べると随分と減ってきています。食物繊維は根菜類の芋や精製していない雑穀に多く含まれています。後者の雑穀として知られるのは玄米や小麦のふすま(表皮の部分でブランとも呼ばれています)などです。日本人の食物繊維摂取量は1日あたり男性で約16g、女性で約14gです。これはそれぞれの推奨値に比べるとどちらも約3g不足しています。この不足が大腸がんを誘発する原因のひとつだという研究があります。特に、女性の場合にはこの傾向が強く、図を見て頂くと分かるように、食物繊維を食べない女性は、多く食べる女性に比べて、大腸がんのリスクが2倍以上になっています。

    近年、トクホや特定機能性表示などで使用される難消化デキストリンも食物繊維のひとつです。この難消化デキストリンは食後の血糖値の急激な上昇を防ぐ働きも報告されています。このような製品を使うことも良いことですが、食事の前半にサラダや野菜の煮物を食べる習慣を付けておくと難消化デキストリンと同じような効果が得られます。食べ方にもちょっとした工夫を取り入れたいものです。

    仕切り線

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