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health seminar

井上教授の健康ゼミナール

著者紹介

慶應義塾大学医学部
井上浩義 教授

日本抗加齢医学会・評議員等も務める。慶應義塾大学ベストティーチャー賞7年連続受賞。文科大臣より化学コミュニケーション賞2012受賞。「えごま油で健康になる!」など著書多数。テレビ・雑誌等でも活躍中!株式会社フランシュエット顧問。

第132回

世界の発酵食品

今日は世界の発酵食品について、まとめられた論文が一昨年に発表されましたので紹介させて頂きます(Microorganisms. 2022 Jun 2;10(6):1151)。現在、世界中で伝統的な発酵食品や発酵飲料は、人間の食生活において重要な役割を果たしており、近代的な研究によって人間の健康に効果があることが示されています。この論文に示されている発酵食品を表にまとめて見ました。日本からも味噌と日本酒がエントリーしています。嬉しいですね。赤字で示したものが日本でも食べられる食品です。ただし、私が調べたものなので実際にはもっと入手できると思います。さて、これらの発酵食品には微生物が多く含まれます。私たちの腸内細菌叢の構成や量は我々の生活習慣病に重要な役割を果たしています。逆に言えば、腸内細菌叢の異常(これを専門用語でディスバイオーシスと言います)は健康に大きな障害をもたらします。2014年〜2021年までの世界の発酵食品に関する研究をまとめると発酵食品を習慣的に食べる人たちは体重維持、心血管疾患リスクの低減、抗糖尿病および便秘改善、血糖値と脂質レベルの改善、免疫系の刺激、抗癌効果、そして最も重要な死亡率の低下との間に強い関連性があることが明らかになっています。凄いですね。ただ、発酵食品の摂取量、摂取期間、および摂取方法などは、まだ研究段階です。世界が注目する発酵食品を積極的に摂りたいものです。