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井上教授の健康ゼミナール

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梅干しは弁当の保存に役立つか?

著者紹介

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慶應義塾大学医学部
井上浩義 教授

日本抗加齢医学会・評議員等も務める。慶應義塾大学ベストティーチャー賞7年連続受賞。文科大臣より化学コミュニケーション賞2012受賞。「えごま油で健康になる!」など著書多数。テレビ・雑誌等でも活躍中!株式会社フランシュエット顧問。

第137回

梅干しは弁当の保存に役立つか?

先日、コミックマーケット(略称:コミケ)という世界的なイベントが東京ビックサイトで開催されました。この期間、我が家には長男の友人たちが北海道や九州から宿泊に来ます。この子達は朝、自分たちでご飯を炊いて、おにぎりを握って会場に向かいます(笑)。この時に受けた質問で「おにぎりに梅干しを入れると日持ちするのですよね」というのがありました。梅は中国や台湾でも栽培されていますが、日本人のように梅干しのような漬物の形で摂取することは稀です。梅干しの抗菌成分としては、梅酢フェノールとクエン酸がよく知られています。この梅の抗菌作用について調べた研究があります(Biol Pharm Bull. 2018;41(2):208-212)。この研究によると、梅酢フェノールもクエン酸もおにぎりそのものの細菌を抑制する効果は大きくありませんでした。しかし、梅酢フェノールは比較的高濃度(1250-5000 µg/mL)で、一部の腸内細菌の成長に対して阻害効果を観察できました。対して、クエン酸は図に示すように、0.32%という極く少量で大腸菌の増殖を抑制しました。但し、ここでは示しませんでしたがpHが7という中性以外ではこの効果はありませんでした。ということは、クエン酸もおにぎり(クエン酸の周りは酸性になっています)には効かず、常にpHが7.0〜7.2に保たれている腸内で効果があるということです。結論としては、おにぎりに対する梅干しの抗菌効果は限定的ですが、身体には梅干しは良いということになります。我が国の伝統的な食事に注目していきたいですね。