日本抗加齢医学会・評議員等も務める。慶應義塾大学ベストティーチャー賞7年連続受賞。文科大臣より化学コミュニケーション賞2012受賞。「えごま油で健康になる!」など著書多数。テレビ・雑誌等でも活躍中!株式会社フランシュエット顧問。
まだ寒い日が続いています。ただ、通勤途上の他人様の庭の梅が大きな蕾を付けているのを見ると少し嬉しくなります。
さて、先日ニュージーランドの友人が「日本でヤギ乳(粉末)を売りたいので助言が欲しい」と言って来ました。ヤギ乳は、昔からウシ乳(牛乳)に比べて、乳児用ミルクに適していると言われていました。これはヤギ乳にはウシ乳には含まれない短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸が多いため未熟児にも使用し易すかったり、ウシ乳よりもカゼインが少なく、アレルギー症状が出にくい可能性があるためです。
そのような中で、実際に乳児にヤギ乳粉ミルク、ウシ乳粉ミルク、そして母乳を与えて、乳児に生じる症状を観察した研究がなされました(Br J Nutr. 2014May;111(9):1641-51)。この研究では、正常分娩の乳児200名を、生後2週から生後4ヶ月までヤギ乳粉ミルクまたはウシ乳粉ミルクを摂るように無作為に割り当てた二重盲検ランダム化比較試験を実施しました。そして、それらの結果は母乳で育てられた乳児101名とも比較されました。研究では体重、身長、頭囲を測定すると共に健康およびアレルギー関連のさまざまな症状についても観察されました。その結果、体重、身長、頭囲、および体重対身長のZスコアは、2つの粉ミルクそして母乳との群間で差はありませんでした。そして、図に示したように、私が注目した重篤な有害事象の発生、全般的な健康状態、皮膚炎または医学的に診断された食物アレルギーの発生率に差はありませんでした。そうなのです。このようなことは良くあります。生活習慣や食生活が大きく変化した現代では、昔からの言い伝えのようなものの信憑性がなくなる場合もあるのです。